2011年11月24日

菊地昇栄太と星女展―絵画とぜんまい手紡ぎ織―








八ケ岳山麓に暮らした、ある夫婦の軌跡。
1980年、八ヶ岳山麓に一組の夫婦が山荘を建てて暮らしはじめました。画家・菊地昇栄太とその妻・星女です。画学生時代に出会った二人は、50年の長きに渡って共に暮らし、生活においても創作においても互いに支え合ってきた、まさに生涯の伴侶でした。

菊地昇栄太は静物画を主に描く画家でしたが、八ヶ岳に制作の場を移してからは静物画に山の動物達を描き込んだ幻想的でナイーフな作風へと変化します。そして最愛の妻・星女亡き後には、同心円状のモザイクを背景に妻への思慕を込めた女性像を描き続け、全く新しい画境を切り開きました。70歳を過ぎてなお新たな表現に果敢に挑んだ昇栄太の心を照らし続けたのは、亡き妻・星女の存在でした。

妻の星女は洋画界の重鎮・林武の《星女嬢》《梳る女》など一連の代表作のモデルをつとめた美しく聡明な女性で、清水多嘉示の彫刻《星女嬢》のモデルにもなるなど、まさに芸術家に霊感を与えるミューズでした。昇栄太との結婚後は帽子作家として活躍し、八ヶ岳に移住してのちは自宅周辺に自生するぜんまいの綿を使って織り上げた「ぜんまい手紡ぎ織」で高く評価され、染織作家として脚光を浴びます。

八ヶ岳美術館では2010年に惜しくも亡くなられた菊地昇栄太の追悼展として、またこの夫婦二人の八ヶ岳山麓での暮らしと創作、そして遺された素晴らしい作品群を初めて同時ににご紹介する夫婦展として、本展を開催いたします。八ヶ岳山麓の自然の中で生まれた、絵画とぜんまい手紡ぎ織、ふたつの世界をどうぞご鑑賞ください。

菊地昇栄太 油彩画 約40点  菊地星女  ぜんまい手紡ぎ織 約30点 を展示



 ■関連イベント■
*座談会昇栄太と星女「暮らし、芸術、そして愛」
  12月10日(土)13:30〜
  二人の作品や八ケ岳での暮らし、人となりについて、ゲストをお招きしてお話いただきます。
  ゲスト:菊地栄(昇栄太・星女夫妻長女)、早坂義征(『蝶とかもしか
画家菊地昇栄太伝』著書)ほか
  参加費:無料(入館料別途)


*ワークショップ山の素材で草木染め
  12月11日(日)13:00〜
  星女の布にちなんで、落ち葉など美術館のまわりの自然素材を使って染織をします。
  参加費:1500円(入館料を含む)
  定員:10名(要予約)


*学芸員による展示解説会
  12月17日(土)14:00〜
  1月8日(日)14:00〜
  星女の布にちなんで、落ち葉など美術館のまわりの自然素材を使って染織をします。
  参加費:無料(入館料別途)

omotes.jpg
posted by 諏訪郡市博物館等連絡協議会 at 14:31| 八ヶ岳美術館