その実践では、写真の工芸的側面が重視されます。ポートレイトを焼き付けた和紙、真鍮の写真立て、木工職人と製作する栗材の額縁――どのような素材や形を用いることで、写真とそれを見る/手に取る身体とのかかわりが豊かになるのか。その問いとともに、写真の物質性をめぐる探求が展開されます。
人々の喪失の経験に焦点を当てた「物の遺影」シリーズでは、故人の遺品や依頼者が手放すことになった私物の姿が残され、肖像に限定しない遺影のかたちが提示されます。様々な喪失を生きる私たちにとって、遺影は死者との確かな接点です。流れ続ける現在と止まったままの過去が日々のなかで滲み合い、ヴァルター・ベンヤミンが提起した「触覚的な受容」が生活者と写真の間で実現されることを、村山写真室は企図しています。
このたび八ヶ岳美術館では、村山写真室の撮影活動をご紹介します。様々な生活に溶け込む制作物が、現代の写真という文化を見つめ直すきっかけとなれば幸いです。
展覧会名称:八ヶ岳美術館企画展「村山写真室 生活と遺影」
会
期:令和7(2025)年9月20日(土)〜12月7日(日)
主
催:八ヶ岳美術館、原村、原村教育委員会
協 賛:スワテック建設株式会社、諏訪信用金庫、株式会社イツミ、たてしな自由農園
入
館 料:高校生以上510円(460円)、小中学生250円(200円)
※()内は20名以上の団体料金。諏訪6市町村内の小中学生は学生証や
図書カードなどの提示により無料で入館できます。
【関連イベント】
●<鼎談> 村山理世
× 石垣純子(mountain bookcase 店主)× 平林壮太(八ヶ岳美術館)
日時:2025年9月21日(日)
11:00~12:00
会場:八ヶ岳美術館
第一展示室
参加費:無料(入館料別途)
予約不要
八ヶ岳美術館(原村歴史民俗資料館)
〒391-0115 長野県諏訪郡原7217-1611
TEL&FAX:0266-74-2701
URL:
https://yatsubi.com

